妊娠中の不快な症状(貧血・便秘・おりものの増加)

女性は妊娠をすると、妊娠していなかった時にはなかった様々な不快な症状が現れます。その多くは心配のないものですが、おかしいと思ったら、産婦人科の医師に相談しましょう。

妊婦さんの悩み

妊娠中の出血
妊娠中に出血が見られた場合、多くの女性はすぐに流産や早産をイメージするようですが、そうでないケースのほうが圧倒的に多いです。たとえば、妊娠すると子宮が充血した状態になるので、セックスや排便などの刺激でも出血することがあります。多いのが便秘を原因とする痔による出血です。

また産婦人科では、婦人科の病気を診断するため、医師が左手の指を子宮にグリグリに挿入し、右手の指で腹部を押さえて、子宮の状態を調べる「内診」が行われます。内診を受けた後に少量の出血がある人もいますが、これも心配いりません。

妊娠初期の出血で原因となる病気がある場合、膣部びらん、膣炎、子宮外妊娠、そして流産あるいは切迫流産、切迫早産などが考えられます。妊娠中期・後期に見られる出血は、前置胎盤、胎盤早期剥離などの可能性があります。

緊急に対処が必要なものは少ないものの、自己判断できるものではありませんので、出血が見られた場合は、産婦人科を早急に受診するようにしましょう。

便秘になりやすい
妊娠中に便秘が増えるのは、子宮が大きくなることで直腸結腸が圧迫されたり、ホルモンの関係で腸の働きが抑えられるという原因が考えられます。慢性的に便秘の状態になると、お腹がパンパンに張ったり、頭痛、吐き気、痔などの不快な症状も増えるため、気分も落ち込んできます。

食物繊維の豊富な食事や軽いウォーキングといった適度な運動で便秘の多くは改善しますが、症状がひどい場合には医師に相談しましょう。

下腹部がパンパンに張る、痛い
妊娠中にお腹が張ったり、痛みがあるのは珍しくなく、多くは心配ありません。妊娠初期は、子宮が徐々に大きくなり、充血もしますので、月経痛に似た下腹部の痛みを感じることがあります。また子宮が大きくなるに伴い、子宮を支えている靭帯が引っ張られるので痛みが現れることもあります。

子宮は膀胱と直腸に挟まれているため、膀胱に尿がたまって大きくなると、子宮が圧迫されて陣痛のような痛みを訴える妊婦さんも少なくありません。また妊婦さんは便秘がちですが、便秘になると便が排出されないので、腸が張って、お腹も張った感じがします。痛みがだんだんと強くなったり、出血を伴う場合には、病気の可能性も考慮して、産婦人科を受診しましょう。

オリモノの量が増える
膣内にはデーデルライン桿菌という善玉菌が生息し、膣内を酸性に保つことで雑菌などの異物から守るという「自浄作用」があります。妊娠すると女性ホルモンの分泌量が増える影響で自浄作用の状態が変化し、オリモノの量も増える傾向にあります。量が増えても、オリモノの色が透明から白っぽいクリーム色で臭いもきつくないならば、問題ありません。

ただし、オリモノで汚れたショーツやおりものシートは雑菌が繁殖しやすいため、膣炎や外因炎の原因となります。長時間の着用は避けて、こまめ交換するようにしましょう。また、女性ホルモンの影響で膣や外陰部にカビが繁殖しやすくなり、カンジダ膣炎や外因炎を起こし、その反応のとしてオリモノが増える人もかなり増えます。

貧血・たちくらみ
妊娠すると血液量は約1.5倍に増えますが、血球成分に変化はなく、水分だけが増えるので、血液が薄くなります。また血球を作る際に欠かせない鉄分が胎児に取られてしまうため、鉄分が不足して貧血になる(鉄欠乏性貧血)妊婦さんが多くいます。頭痛やめまい、立ちくらみに注意しましょう。

鉄欠乏性貧血に予防には、鉄分が豊富な肉類、ほうれん草などの野菜を積極的に摂るようにしましょう。産婦人科では鉄剤を処方されることもあります。

子宮頸がんワクチン「サーバリックス」と「ガーダシル」

2013年から子宮頸がんワクチンは法律によって接種が定められている「定期接種」となり、病気の発生と蔓延を防ぐA類の指定を受けています。ヒトパピローマウイルスは性行為を行う前の年齢で予防するのが望ましいことから、ワクチンを定期接種の対象となるのは、小学校6年生から高校1年生相当の女子となっています。

若い女性に増えるがん

現在、日本で使用されている子宮頸がんワクチンには、グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」、MSDの「ガーダシル」の2種類があります。

サーバリックスは、2種類のヒトパピローマウイルスに対して免疫を作ることができるのに対し、ガーダシルは4種類のヒトパピローマウイルスに対して免疫を作ることができ、ともに3回の接種が必要となります。ガーダシルは尖圭コンジローマの原因となるウイルスに対する免疫もできるのが、大きな違いとなります。

子宮頸がんワクチンに限らず、全てのワクチンは体にとって異なる成分ですから、ワクチンを接種することで期待される免疫反応とは別に、発熱や嘔吐、痙攣などの反応がおきることがあります。

ただし、ワクチン接種の時期に偶然重なる形で、他の病気などを原因としてこれらの症状が現れることもある(紛れ込み事象)ため、両者の区別は簡単ではありません。

どのような副反応が、どのような割合で現れるかは、ワクチンの種類、接種回数、その時の対象などのファクターによって左右されますが、ワクチン接種を受けた人たちを大規模追跡することで、副反応の種類やその発生頻度を知ることは可能です。

おりものの異常は性病のサイン

中高年の女性は尿漏れに悩まされる方も少なくないため、尿とおりものを間違うケースもしばしばあります。一方、出産の経験のない若い人が尿漏れとおりものを間違う人はいないかと思われますが、近年は尿漏れを訴えて婦人科を受診する若い女性も増えてきています。

自身のおりものをチェック

10日位前から、動かないでじっとしてていも尿が漏れている感じで下着が濡れており、膀胱炎と判断して、最初に内科を受診した患者さんがいました。

尿検査で炎症細胞が多く認められたため、抗生物質で治療をしたものの、症状は一向に改善せず、診察を行った内科医に産婦人科の受診を勧められました。

産婦人科の医師が診察したところ、患者が尿と思っていたものは、実際はおりもので、症状はクラミジア感染症や淋病と並んで、女性の感染頻度が高いトリコモナス膣炎によるものでした。トリコモナス膣炎を内服薬と座薬で治療したところ尿漏れは治まりました。

また長い間、下着が液体で感触があったため「尿漏れ」と自己判断して、ナプキンを当てていたところ、陰部がかぶれて真っ赤になり、強い痒みを訴えて病院を受診他助成もあります。この場合も漏れていたのは尿ではなく、おりものでした。

月経周期の間でおりものの量は変化します。月経後は少なくなり、排卵期には水っぽくなり、ゼリー状になることもあります。おりものの量が多い、悪臭がする、黄色っぽい、陰部にかゆみがある、などは性病などの可能性が考えられるので、恥ずかしいけれども症状が悪化する前に、婦人科を受診して検査してもらいましょう。